サムライになった むらびとたち

 この度、弊社の支援者でもあり、<行動する社会運動>にも率先して参加されておられる木灰風人氏が「サムライになった むらびとたち」という短編の物語を発表されました。現在の我が国日本を鋭く描いた寓話であると共に、読む者に深い感動と共感を呼ぶ内容になっております。

 木灰風人氏は童話や小説、和歌などを多くつくられる方で、「なんで日本人は目覚めない?」「なんで日本人は戦おうとしない?」といった事を考えていて、この「サムライになった むらびとたち」を書かれました。子どもたちに読んで欲しいとの思いから、童話の体裁で綴られておりますが、大人でも大変楽しめる読みものであります。多くの解説よりも、まず御一読ください。



サムライになった むらびとたち

木灰風人


むかしむかし あるむらで おこったおはなしです 

そのむらのひとたちは せまいはたけをたがやし かわで さかなをとり 
あるいは クワやカマを きたえてつくり 
それを ほかのむらにうって しずかにくらしていました 
くらしは ゆたかではありませんでしたが むらびとたちは 
みな しあわせでした 

そのむらでは ずっとずっとむかし おおきな いくさがありました 
そのむらのサムライだった むらびとの ごせんぞさまたちは 
とてもゆうかんにたたかいましたが まけてしまいました 
そして かったくにの やくにんのおふれで 
そのむらには サムライが いなくなってしまいました 
そうして ながいながいつきひが たちました 

あるひ となりのむらのやくにんたちが むらにやってきて 
むらびとみんなをあつめて いいました 

『このむらは むかしのいくさのとき ワシらのむらに めいわくをかけた 
だからこれから ワシらのむらにも ネングを おさめるように』 
そんな むちゃな めいれいでした 

ほおにエラのはった いやらしいかおのおとこと 
まるでナマズみたいな ヒゲをはやした おとこでした 
むらびとたちは こまってしまいました 
いまでも くらしはゆたかではない 
そのうえに となりむらにネングなど はらっていては 
むらびとたちは ごはんも たべられなくなってしまいます 

でも そのむらのムラオサは こういいました 
『このむらが となりむらに めいわくをかけたのは ほんとうのことだ 
だからみんなが まずしくなっても ネングをはらうのは しかたがない』 

でもそれは ちがっていたのです 
ほんとうは むかしのいくさのとき このむらは となりむらに 
めいわくなんか かけていなかったのです 
それどころか このむらのサムライたちは 
いくさが となりむらにとどかぬように しっかりまもっていたのです 

そうです むかしのことをしらない このむらのひとたちは 
となりむらのやくにんに まんまと だまされたのです 

そして むらびとたちは しりませんでした 
ムラオサの うまれたのが となりむらであることを 

でもみんな ムラオサには さからえませんでした 
ムラオサの とりまきの らんぼうものたちが こわかったのです 
さからえば このむらをおいだされて ごはんもたべられなくなります 

そして むらびとたちは なくなく となりむらに 
ネングをはらうことにしたのです 

それからというもの むらびとたちは 
まずしいくらしが ますます まずしくなりましたが 
すくないごはんをわけあって つつましく くらしていました 

そんななか むらで ふしぎなことが おこりはじめたのです 
むらのわかいむすめたちが ひとり またひとりと 
『かみかくし』にあって いなくなっていったのです 
はじめはみんな ふしぎにおもいました 
でもあるひ となりむらのちかくまでいった むらびとのひとりが 
いなくなったむすめが となりむらにいるのを みてしまいました 
むらびとたちはおこり ムラオサに つめよりました 
でもムラオサは 
『むすめたちは かみかくしにあったのだ 
となりむらなんかに いるわけがない』 
そういうばかりでした 
むらびとたちは ムラオサのとりまきがこわくて 
それいじょうは なにもいえませんでした 
となりむらをみた そのむらびとは 
それからしばらくして かわでおぼれて しにました 


そうこうするうち むらに もっとたいへんなことがおこりました 
となりむらの むらびとを ムラオサが つれてきたのです 
『むらびとが たくさんになって はたらけば むらはゆたかになる 
だから となりむらから はたらくものをつれてきた 
みんな なかよくするように』 
ムラオサはそういいました 

でも むらは ゆたかになりませんでした 
うつりすんできた となりむらのものたちは まいにち しごともせず サケをのみ 
むらびとに らんぼうばかり はたらくのです 
ムラオサに もんくをいっても 
『あのものたちと なかよくできぬのは オマエたちがわるいのだ』 
そういわれるばかりでしたが ムラオサには さからえません 
むらびとたちは しかたなく ずっと がまんをしました 


そしてとうとう かなしいできごとが おこってしいまいました 

ごはんが まんぞくにたべられなくなった ひとりのこどもが 
うえじに してしまったのです 
(おにぎりがたべたい) こどもは そうつぶやきながら しんでいきました 
こどもの おとうさん おかあさんは なげきかなしみました 
そしてつぎのひ しんだこどもをだいて かわに みをなげて 
みんな しんでしまったのです 


『もうたくさんだ! アイツら ゆるせない!』 
そうさけんで たちあがったのは 
このむらの 4にんの わかものたちでした 
この4にんは たいへん ちからがつよく また あたまもよく 
ほんをよみ むかしの むらのまちがい 
ほんとうの むらのサムライのことを うすうす きづいていました 

『ムラオサを やっつけてやる!』 
4にんは そうさけんで ムラオサの やしきに おそいかかりました 
でも たった4にんです 

ゆうかんにたたかいましたが ムラオサのとりまき 
そして うつりすんできた となりむらの 
らんぼうものたちに とうとうつかまってしまい 
ムラオサのやしきの ろうやに 

かわいそうに とじこめられてしまったのです

むらびとたちは 4にんの わかものたちが ムラオサたちにつかまり 
ろうやに いれられたことを とてもかなしみましたが 
もう あきらめかけていました 
(もうムラオサたちには かなわないんだ)と 
でもそのとき ひとりキコリが たちあがりました 
このキコリは つかまった4にんの なかよしでした 
『ワシは アイツラに たのまれてたことがある』 
そういって むらの おやしろに むかっていきました 
むらびとたちは なんなのだろうと ついていきました 
おやしろの ほこらについているカギを 
キコリは オノで たたきこわし 
『アイツラに なんかあったときは ここをあけろっていわれてた』 
キコリは そういって ほこらのとびらをあけました 

なんということでしょう 
ほこらのなかには いろとりどりの ヨロイやカブト カタナやヤリなど 
いくさのどうぐが いっぱいつまっていました 
『これをつかって あの4にんを たすけだそう』 
キコリは そういいました 
『むらのみんなが ちからをあわせれば ムラオサなんかにゃまけねぇ!』 
キコリが そうさけぶと みんなが 
『そうじゃ! もうガマンすることはねぇ!』 『しあわせなむらを とりもどすんじゃ!』 
くちぐちにそうさけび みんなヨロイカブトを つけはじめました 

そうです この いくさどうぐは 
おおむかし このむらのサムライたちが いくさに つかっていたもの 
いくさにまけ サムライをやめた ごせんぞたちが 
ほこらに しまいこんでいたものだったのです 
つかまった4にんは そのことをしっていました 
だから じぶんたちに なにかあったときのために キコリに このことを たくしていたのです 

ヨロイカブトをつけ カタナやヤリをもち 
すっくとたった むらびとたちは それはりりしい サムライのすがたです 
その はたじるしは しろじにあかい おひさまのしるし 
おおむかしの このむらのサムライのしるしです 
おんなたちも のらしごとでつかう このむらのしるし 
あおいタスキをかけ ナギナタを ふりあげています 
『さらわれたむすめたちを このむらにとりかえせ!』 そうさけんでいます 

そして むらびとたちは いや りりしいサムライたちは 
『4にんをかえせ!』 
そうさけびなから ムラオサのやしきへ つっこんでいきました 
『まて! オマエらのすきにはさせんぞ!』 
ムラオサが たくさんの らんぼうものとともに まえに たちはだかりました 
でも サムライのタマシイを おもいだした むらびとたちに 
かなうものではありません 
たちまちのうち らんぼうものたちは カタナできられ ころされました 
わるいムラオサも キコリのふるったオノで くびをきられ ころされました 

みんなはよろこび 
『エイ! エイ! オー!』と かちどきをあげました 
そうこうするうち つかまっていた4にんも たすけだされてきました 
ちょっとケガをしていますが とてもげんきです 
みんなは うれしなみだをながして よろこびました 
そのばで 4にんのうちのひとり 
いちばんとしうえのわかものが あたらしいムラオサになりました 
みんなできめました はんたいするものは だれもいません 

『みんな ありがとう でも よろこぶのは まだまだだ!』 
あたらしいムラオサは みんなにいいました 
『これから となりむらにせめこんで さらわれたむすめたちを 
みんな とりかえそうじゃないか たたかいは これからだ!』と 

そしてみんなは となりむうらに たたかいをいどみ 
さらわれたむすめたちを たすけだすために むらを しゅっぱつします 
いろとりどりの きれいなヨロイカブト おひさまのはた あおいタスキ 
そのすがたは もう ガマンばかりしていた よわいむらびとではありません 
おとこも おんなも りりしい りっぱなサムライです 

たいれつの いちばんまえで 
おひさまのはたを かかげていたキコリが おおごえでさけびます 
『いくぞぉぉーーー!』 
するとみんなは 
『うぉぉぉーー!』と おたけびをあげてこたえます 

とおいむかし いくさにまけ たたかうことをわすれていた むらびとたちは 
いま サムライのタマシイを よびさまし 
いままで みんなをくるしめていた となりむらに おそいかかります 
あたらしいムラオサは ちからのかぎり さけびました 

『しあわせな おれたちのふるさとを とりもどせーー!』 

(おしまい)


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  by haigai | 2010-08-17 16:17 | 随想雑記

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