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二人の青年、一つの日本

二人の青年、一つの日本

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 この夏、二人の青年に出会った。いや、二つの悩みに向かい合ったと言った方が正確かもしれない。二人とも日本を想う気持ちはまことに純粋な青年であるが、それゆえに悩んでいるのだ。そんな彼らの姿を見ていると、現在の我が国の社会運動や、言論状況の逼迫と停滞、問題を考えさせられてしまった。

 「相談があるんですけど…」と筆者に電話が掛かって来た。東京都内の保守系の団体に所属する青年だ。彼の属する組織は、いわゆる「行動する保守」ではなく、講演会や学習会を中心とした組織だった。ある日彼が街を歩いていると、右翼民族派団体が街宣車を停めて演説をしていた。その話しを少し聞いてみたところ、その弁士の見識と熱意、弁舌にすっかり感動してしまい、それ以来何度もその民族派団体の街宣に顔を出すようになったという。

 ところが狭い世の中にあって、更に狭いこの“業界”のこと。どういうわけか、彼がそうした民族派団体の街宣に顔を出しているという話しは、彼の属する保守系団体の耳にも入ってしまった。そして組織の上に居る者から、「おまえ、あんな右翼の所になんか行くな」「右翼は保守じゃない。ゴロツキだ」などと咎められてしまったそうだ。それで筆者に、「僕はどうしたらいいでしょう?」と尋ねて来たのだ。

 もう一人の青年には今年の夏におこなわれた<行動する社会運動>の街宣やデモで会った。こちらのデモや街宣を少し遠巻きに眺めて来ている。聞けば右翼民族派団体に属する青年だった。「在特会や行動する保守の運動にとても共感しているし、自分も参加して活動したい」と言う。けれど、「入っている団体の上の方が『あんなの右翼じゃない』って言ったりするし、自分みたいな右翼が紛れ込んで迷惑になっても…」というのだ。

 なんとも難しい悩みだ。彼らは何も懊悩するために、右翼や保守になったのではない。日本の素晴らしさに目覚め、日本の問題に気付き、国を憂いて進んだ道がそれぞれ「右翼」や「保守」であったに過ぎない。彼らは学習し、経験を積み、なによりも活動をするためにそれぞれのアプローチから運動に入ったはずなのだ。

 ところが、それが「右翼だから…」「保守だから…」という枠組みに縛られてしまい、活動がままならなくなっている。本末転倒な話しではないだろうか。ではここで言われる「保守」だの「右翼」というのは何なのか。何度もこのブログで書いている事だが、世の中に「右翼検定協会」や「保守免許」なんてモンがある訳ではない。

 それを、「あれは右翼じゃない」「あれは保守ではない」と言って切り捨て、我こそは正当と思って殻にこもり、周囲の人間達の行動を束縛する。これは「ムラ社会」そのものである。右翼や保守というのは思想分類ではなく、時として「ムラ社会」の単位なのだ。その村落の暗黙の掟と慣習によって「ムラ」が区分される。「ムラ」は予定調和の秩序を重んじ、自分達だけに通じる共通言語を“方言”としている。気に食わないヤツは、「あいつは右翼(保守)じゃない」と“村八分”にする。

 これは日本の左右ともに関係なく「ムラ」は存在している。「大日本●●同志会総本部」なんていうのが、「右翼ムラ」住民の表札だ。「◯○を××する市民の会」というのが「市民団体ムラ」住民の表札だ。他の表札は掲げたがらないのだ。若者はこの「ムラ」に憧れて“入村”してくる。そしていつの間にか「ムラ」に縛られてしまう。ヨソの「ムラ」に行く事や、ヨソの村人と話すことも忌避される。そしていつしか若者は、そんな「ムラ」に愛想を尽かして去って行くか、そんな「ムラ」を「住み心地がいい」と思って安住してしまう。

 日本の政治運動と言論状況を逼迫・停滞させ続けて来た大きな原因は、この「ムラ社会構造」にある。冒頭に記した二人の青年の悩みというのも、この「ムラ社会構造」から発している。筆者は何も「みんな『愛国』なんだから大同団結♪」なんて愚にも付かない事を言いたいのではない。人によって持ち場職場はあるし、思想・運動での競争と対立も必要だと認識している。

 しかしながら、この「ムラ意識」というものが、「ムラの空気」を第一にして、あるべき日本の姿を忘れてはいないだろうかと問いたいのだ。そしてこれからの未来ある青年の可能性、すなわち日本の未来の可能性を閉ざしてはいないかと問いたいのだ。これからの運動を担って行く青年には、一つの日本を見据え、つまらない「ムラ社会」を飛び越えていってほしい。




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  by haigai | 2011-08-23 14:35 | 随想雑記

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